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「スペースわん」で生徒さんに接していてうれしいことの一つに、
「自分で考え、自分で工夫できるようになっていく姿を目の当たりにできる」
ということがあります。
「新・スペースわん通信」第14号に、
勉強嫌いだった子が、自ら進んでプリントをやり、
勉強方法も自分で工夫するようになった話を載せました。
彼は今も、いろいろと工夫しながらプリントをやっています。
算数・国語に加え、先日から、英語のプリントもやり始めました。
最初はアルファベットの大文字を書くプリントで、
まず点線をなぞり、その下に、点線なしで書く欄があります。
まずお手本を見ながら書けばいいプリントです。
が、彼は、その下の欄を書く時、
すぐ上にはお手本の字も点線をなぞった字もあるので、
それが見えないようにプリントを折って隠して書いているのです。
そして、隠して書いたものを自分で丸つけし、
「E」と「F」を逆に書いていたことに気づき、間違い直しをしていました。
そして、もう一度同じプリントをやる時には、
最初からお手本を隠して書き、今度は間違えずに書けました!
国語の漢字のプリントをやる時にも、
彼はヒントの欄を隠して見ないように工夫していたので、その応用ですね。
国語、特に漢字が大の苦手だったのですが、
楽なところから始めて、いっぱい間違え、いっぱい間違い直しをしながら、
着実に進んできました。
しかも、以前クリアしたプリントを、
「忘れてるかもしれないからもう一回戻ってやってみる!」と言って、
宿題として持って帰ります。
思わず、「なるほどね〜」と言ってしまいます(^^)
これは、彼自身が自分で考え自分で決めて、自分で工夫しているのです。
「スペースわん」で使用している「らくだメソッド」では、
学習者が何年生でも何才でも、入会したらまず算数のプリントから始めます。
そして、算数・数学のプリントは、毎日やるのが基本です。
彼も、算数からやり始めたのですが、算数のプリントはほぼ毎日やれています。
ある時、「毎日やれてるね〜!」と何気なく言ったら、
「自分で決めたんやからやる!」と言い切りました。
また、進むにつれて難しくなっていく算数のプリントの宿題を、
「難しいからこっち!」と、あえて難しい方を選びました。
人に言われてやることなら、楽な方を選びたくなるかもしれません。
でも、自分で決めたことならば、
難しい方を選んだり、ヒントを隠したり、前に戻って復習したりすることは、
自分が力をつけるために必要な、当たり前のことになるのでしょう。
最初からそうだったわけではありません。
でも、まず算数の楽な所からやり始め、
ミスが出たら間違い直しをし、ミスが減っていくのを目の当たりにすることで、
彼は、「勉強の仕方」を身につけていったのだと思います。
算数は、毎日やることでの変化が一番はっきり出ます。
つまり、前号に書いた「積み重ね」の力を一番実感できる教科です。
「やったらできた!」を積み重ね、自分の変化を実感することで、
他の教科の勉強の仕方にも変化が出てきたのでしょう。
学校の漢字のワークも、「埋める」から 「覚える」やり方に変わってきました!
「算数のプリントを毎日やる」というのは、とても「地味」な学習です。
自分で丸つけや間違い直しをし、記録表に記入するというのも、
とても「地味」な 作業です。
でも、そういう「地味」な学習と作業を積み重ねることで、
今までできなかったことができるようになっていくだけでなく、
自分で考え、自分で決め、自分で工夫するようになっていきます。
逆に言うと、いきなり、「自分で考え、自分で決め、自分で工夫しなさい」と言っても、
それは難しいということです。
その前に、「地味」な学習と作業の積み重ねによって、
「こうやったら自分は変わる!」という本人の実感が必要なのです。
高校教師だった13年間と、「スペースわん」を始めて19年、
計30年以上教育に関わってきて、
教育が、「学ぶ側主体」の 「地味」な積み重ねよりも、
「教える側」から「楽しさ」や「わかりやすさ」を「与える」ことを追求するようになり、
教科書や参考書がカラフルでイラストがたくさんあって、
「楽しくわかりやすく」なればなるほど、学力は落ちていった感じがします。
そして、たくましさが消えていったような気がします。
「指示待ち」なんて言葉はもうかなり前から使われていたにも関わらず、
未だに、指示待ちを生んでしまっている原因(教え過ぎ・与え過ぎ)を断てないでいる・・・。
しかも、社会に出たらいきなり「自分で考え自分で決めなさい」と言われる・・・。
そんな話をある集まりでしたら、ある方が、食べ物に例えて下さいました。
私の言う「カラフルで楽しくわかりやすい教材」は、「柔らかい食べ物」、
柔らかい物ばかり食べていたら、「かみ砕く力」が失われると。
まさにそうなんです!
「かみ砕く力」がまだ弱い子には、「柔らかい食べ物」も必要ですが、
だからといって、いつまでも「柔らかい食べ物」ばかりでは、
「かみ砕く力」は育ちません。
誰にとっても「楽しくわかりやすい」は、
「硬い食べ物」が必要な段階の子にも、「柔らかい食べ物」を与え続けているケースを
多分に含んでいるということです。
成長過程は一人一人違うのですから。
「らくだメソッド」のプリントは、イラストもなく「地味」ですが、
自分に合ったペースで「かみ砕く力」をつけることができる「硬さ」があるのだと思います。
その「硬さの程度」を、子ども自身が選んだりするのです。
「地味」な学習と作業をたんたんとやり続けることで、
自分にとってちょうどの「硬さ」を選ぶ目も養われるのでしょう。
「自分で考え、選び、決める力」や「自分で工夫する力」、
つまり「自分で学ぶ力」は、
そんな日常の「地味」な積み上げの上に生まれるように思います。
楽しさやわかりやすさを「与える」だけではなかなか身につかない力です。
「スペースわん」の生徒さんたちは、「地味」な学習と作業を積み重ねながら、
「学力」や「たくましさ」、
そして「自分で学ぶ力」をつけていっているなあと思うのです。