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「スペースわん」は、今年「20歳」になります。
阪神・淡路大震災のあった1995年、府立高校を退職し、
「らくだメソッド」で学ぶ「スペースわん」を始めました。
震災から20年経ち、
その年に生まれた子が成人式を迎えるという話をテレビやFBなどで見聞きすることで、
「ということは、『スペースわん』も成人式なのだ!」とふと思ったのです。
そんな時に、大手有名塾の新聞折り込みチラシの、
次のような言葉が目に飛び込んできました。
「教える教育は終わった」。
「えっ?」と思いました。
表現は違いますが、
「らくだメソッド」の考え方も「教えない教育」で、
それは、20年前、私が「らくだ」と出会った時にすでにあったからです。
そのチラシの説明を読むと、
「学校教育で、答えを教える講義型スタイルで一方的に教えられると、
生徒はわかったつもりになり、そこで追求を停止する」
「答えを大量に詰め込めば詰め込むほど、追求力が低下していく」
「この『教える教育』を根本から変えていく必要があり、
自ら考える力を育む教育を目指す」
といった言葉が出て来ます。
「スペースわん」ではすでに20年、
「わかったつもり」ですまさないように、
講義型で一方的に教えるということをしてきませんでした。
だから考え方は共感します。
ただ、「教える」という行為を全否定するつもりはありません。
受験シーズンまっただ中の今、
受験を目前にした「スペースわん」の生徒さんたちは、
「らくだメソッド」のプリントもやりつつ、
今の自分にとって必要な勉強に黙々と取り組んでいます。
どちらも、基本的には「教え」ません。
でも、受験勉強では「自分でやろうとしてもわからないこと」が出てきます。
自分で問題を解いていてわからないことにぶつかると、
「スペースわん」の生徒さんたちはどうするのか?
「らくだメソッド」のプリントを長年続けてきた子は、
まず、解答を見てなぜ正解がそうなるのかを自ら考えようとします。
そして、解答を見なくてもできるようになるまで、自ら練習します。
ただ、問題が難しかったり、まだ「らくだ」歴が浅かったりする場合は、
私に質問してきます。
その場合、私は「教える」のか?
いいえ、私のすることは、生徒さんへの「質問返し」です。
解答を見ながら「ここまではわかる?」、
わかるなら「じゃあ説明して?」、
わからなければ、「これはどうしてこうなってると思う?」
そういったやりとりを通して、
生徒さん自身が「あっ、そうか!」と気づくような「教え方」です。
質問するということは、
生徒さん自身が「わからない」ことに対してわかろうとしている、
つまり能動的な姿勢になっているので、理解も早いのです。
これは、「教え」ているのか、いないのか?
どちらとも言えますね。
また、大学受験に向けて古典などを一緒に考えることもあります。
それも、基本的に「質問」しながら、
生徒さん自身が調べたり考えたりすることを大事にしています。
ポイントは、「教える」「教えない」よりも、
生徒さん自身が「能動的かどうか」だと思います。
「自ら考える力をつける」ということは、
この「能動的かどうか」ということが大きく関わってきます。
「自ら考える力をつけるための授業を、受け身の姿勢で受けている」という状態では、
果たして本当に「自ら考える力」がつくのでしょうか?
「自ら考える力をつける」となると、つい
「複雑な問題を自分で考えさせる」
「難しい問題をじっくり考えさせる」方向にいきがちです。
そういう問題を自ら能動的に解こうとする姿勢や、
解くための基礎学力がついていればいいのですが、
そうでない場合は、
「自ら考えること」のしんどさから逃げる方向にいきがちです。
まずは、「自ら考える力」をつけるための土台として、
「能動的姿勢」と「基礎学力」をつける、
それが、「らくだメソッド」のプリントを通じて「スペースわん」でやっていることです。
まずプリントを自分でやってみて、
答え合わせと間違い直しも自分でして、
自分がどこでどう間違えたのかを考え、
答えを見ずに自分でスラスラできるようになるまで繰り返す。
単純なことですが、これを長年積み重ねていく中で、
少しずつ「自分で考える」ための土台を築き上げていくのです。
その土台作りは、人によってはかなり時間がかかる場合もあります。
そこは、じっくりゆっくりその子のペースでやる必要があります。
それを生徒さんまかせにするのではなく、
時間がかかっても寄り添い続け、
生徒さん自身が「能動的」になるような関わりをし続けるのが、私の役割です。
前述の大手有名塾のチラシには、次のような文章も載っていました。
「職人の世界では、師匠が弟子に教えるということはほとんど行われない。
『どうすればできるか』を弟子自らの頭を使って考えさせる教育が、
追求力を培い、世界でも群を抜くレベルの技を生み出してきた」
この職人の世界でも、「道具」を使いこなす力は、
日々の地道な積み重ねで身体で覚えていくはずです。
道具を使いこなす練習なしに、ただ弟子が師匠を見て、
どうすればできるかを考えるだけでできるようになるとは思えません。
勉強面でその「道具」に当たるのが、「読み・書き・計算」、
つまり「基礎学力」だと思います。
「基礎学力」の土台作りが不十分であるために、
「自ら考える」という行為そのものが苦痛でしかない子も多いのです。
その「基礎学力」の土台作りをする中で「能動的姿勢」を身につけることができるよう、
内容はシンプルにして「自ら考える」ことの苦痛を減らしているのが、
「らくだメソッド」だと考えています。
「計算がスッとできない」
「読めない漢字が多いから文章を読む気になれない」
という「土台」の部分で苦労している子も、
学力はあってもそれまで受け身で「やらされてきた」という子も、
まだ学びの入り口にいる幼い子も、
それぞれが能動的になっていく姿を見ることができる。
それが「スペースわん」を20年続けられた原動力なのかもしれません。